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ありふれた事件1
F&F&F 著


 照明を消した車中には、シアトルマリナーズの野球帽を目深に被り、ジャンバーもジーンズも黒ずくめの若い女がいるだけだった。車を止めているのは郊外の閑静な住宅街の一角で、時折、フロントガラスからいかにも年末らしい、大きな買い物袋を抱えた親子連れやカップルが通り過ぎるのが見えた。だが、女が食い入るように見つめているのはハンドルの脇にある小さな液晶ディスプレイだった。画面ではハンサムな初老の政治家が、最近判決の出たある少年犯罪について熱弁を振るっている。いつものように視聴者が聞きたいと思う言葉を、聞きたいと思うタイミングで放つその演説では、「少年法改正を是非」「少年による重犯罪に関する特別捜査チームの設置」「警察官の武装強化」等の台詞がぽんぽん飛び出してくる。だが身じろぎ一つせずに聞き入っている女の目はどこまでも暗く、そして何かの決意を秘めているようだった。やがて画面では初老の政治家に替わってTV局のコメンテーターと口ひげを生やしたキャスターが登場した。彼らの主張は先ほどの政治家に対して批判的な内容だった。

  「今回の事件は、やはり心の問題に尽きるのではないでしょうか?少年法の改正といっても、終身刑や死刑まで視野に入れた改正などという一部の意見は全く非現実的で、まず加害者の少年達に、自分の罪の重さを自覚させるところから始めないと。」

  「そうですねえ。まあ被害者である警察官の方への配慮も必要ですが、今回の事件は犯罪の内容が内容だけにマスコミでは興味本位で書き立てられることが多かったですからねえ。冷静に考えないと。」

  黒ずくめの女は液晶TVのスイッチを切った。

  「夏実・・・」

 かつては常に隣に座っていた仲間の名を呟くと、血がにじむほど下唇をかみ締めて、雪がちらつきはじめた車外に目をやった。

 

 

 

 

 

 〜4ヶ月前

 

 「本日諸君に集まってもらったのは、あー、もう察しの良い者は気付いているとは思うが、」

 ホワイトボードの前で課長は面倒くさそうにブリーフィングを始めた。隣では捜査課の徳野刑事が、汗だくのシャツに緩めたネクタイという姿でパイプ椅子に座っている。

 「我が交通課に、捜査課から最近郊外で頻発している女性を対象とした暴行事件に関して協力要請があったからなのだ。」

 会議室に集まった婦警達からは一斉にざわめきが走った。もちろん課長の話に賛同しての肯定的なざわめきではない。中には「何ぃ〜ヤダぁ〜」というヒソヒソ声も聞かれる。

 「来週には墨東花火大会も開かれ、観光にやってるカップルを狙う犯行も予想される。そこで・・・」

 「そ、それって、アタシ達が囮捜査に協力するってことですか?」

 二階堂頼子がうわずった声で質問した。

 「んー、まあ、手っ取り早く言ってしまえばそういうことだナ。」

 徳野刑事が申し訳なさそうに答える。

 「だったらアタシが行きます!」

 背の高い美形の婦警がすっくと立ちあがった。

 「スゴい、さすが葵ちゃん!葵ちゃんなら適任だよォ」

 頼子が拍手する。

 「ちょ、ちょっと待ってください、アタシも行きまーす!!」

 ハスキーな声を張り上げて椅子を倒すほどの勢いで立ちあがったのは、美形だが精悍な顔立ちの婦警だ。肩まで捲り上げたシャツから、筋肉質の二の腕がのぞいている。

 「夏実ィ、徳野さんの前だからって止めなさいよ、もぉ。」

 隣にいた理知的な瞳の婦警が腕をひっぱる。

 「まあまあ、説明は最後まで聞いてくれ。なにも捜査に協力してもらうのは一人ではないし、君達にやってもらうのは捜査って程のもんでもないんだ。」

 徳野刑事は苦笑しながら答える。

 「地元の商店街から墨東署に苦情があってな、少年課と協力して夜間パトロールにローテーションで出てもらう。まずはこの地図を見てくれ。」

 プロジェクターに映し出された巡回区分を指し示しながら、課長は説明を再開した。

 

 「で、結局夏の間夜勤が続くとこになっちゃったのね。」

 Todayのハンドルを握る美幸がぼやいた。

 「んんー、さっすがにこの蒸し暑さじゃ夜勤もきついわねえ。」

 シャツの胸元を団扇で扇ぎながら、夏実は顔をしかめて言った。

 「いまさら何言ってんのよ、夏実ったらブリーフィングの後で『任せてください、必ず徳野さんのお役に立って見せます!』なんて言っちゃってさ。」

 「ナハハハ、ま怒んない怒んない。さっさと巡回地区廻ってシャワー浴びよ!ビール奢るからさ。」

 気楽そうな顔で夏実はパートナーをなだめた。

 「まったくもォ…」

 美幸は軽くため息をつくと車外に注意を戻した。いつも夏実のあの表情に負けてしまう。しかし、その小ずる賢そうな、それでいてどこか甘えたような夏実の表情を見るとほっとするのも事実である。

 「しっかし、加害者のアタリがついていても捜査できないなんて、マッタクどうなっちゃってんのかねーこの国も。」

 夏実は腕組みをしてぼやいた。

 「現職警察官がなんてこというのよォ。大体、未成年の犯罪ってのは扱いが難しいのよ。」

 「それに加えて容疑者の親が都の議員で警察OBだって言うんでしょ?」

 夏実は舌打ちをした。

 「まあそれは頼子の情報だけど…」

 美幸はブリーフィングの後の、頼子の話を思い出した。

 

 『あの事件はすごーくやばいんだって。大体、容疑者は判っているんだけど、いろいろ事情があって取り調べに踏み切れないらしいのよ。』

 『ふうーん。で、どんなヤツなの?』

 『なんでも墨東中に通ってる中3なんだって。でね、その上親が都の議員を3期勤めた元警察キャリアなのよ。』

 『はぁ?それでなんで捜査出来ないのよ。』

 『夏実も世間知らずねえ。その親が捜査を妨害してるに決まってるじゃない。』

 頼子が人差し指を立てて、いかにも判ってないなぁ〜という風に解説する。

 『でね、ここらじゃ名の知れた悪ガキらしいんだけど、警察関係者も学校まで行って会うことはできなかったんだって。徳野さんの話だと、ほとんど現行犯でもなきゃ補導できないそうよ。』

 『ン何ィ〜?そんなふざけたヤツには体に教育してやるしかなさそうねえ。』

 夏実は拳をボキボキッと鳴らした。基本的に直情型の正義漢である彼女はこの手の話に我慢できない性質だった。

 

 「こんなパトロールしたって、親が親なら筒抜けなんでしょう?無駄かもねえ。」

 夏実がつぶやいた。

 「そんなことならいっそ、そいつン家の前で張り込みでもすりゃいいのに。この前見に行った、ホラ、ナンとかディアスが出てる女の子3人組みの映画みたくさぁ。」

 「チャーリーズ・エンジェルみたいなこと、出来るわけないでしょ。なんなら、パトロールのついでに寄ってみる?」

 「はぁ〜あ。」

 両手を後頭部で組んで、夏実はミニパトのシートに深くもたれた。

 「最近のガキんちょは頭がどうかしちゃったのかねえ。チュウボウとは・・・」

 「ナンでもいいから、スリルを求めたい年頃なのよ。夏実だって高校の頃、学校サボってバイト三昧でバイクやってたでしょ?」

 「ぬぁ〜にぃ?人の趣味を犯罪といっしょくたにしないでよォ。」

 あっはは、ごめんと笑って美幸は車外に注意を戻した。

 全くイヤなパトロールだ。

 

 その後2時間ほどの間にやったことといえば、コンビニの前で缶チューハイを飲みながらたむろしている制服姿の少年少女を追い散らしたぐらいであった。「ヲバサンも飲んでかな―い?」と女子校生に言われた夏実はかなり頭に血が上ったようで、今にも逆キレせんばかりにひきつった顔で「シッ、シッ」と言うだけだった。

 「そろそろ巡回も終わりね。」

 美幸はようやく解放された気分でパートナーに語り掛けた。時刻はもう午前2時を過ぎている。

 「あーもぉ、ガキの相手してたら余計汗かいちゃった。なんかもうべとべと。」

 夏実は二の腕を鼻に近づけてクンクン匂いを嗅いだ。その途端「「ウエェッ」と言って顔をしかめる。

 「みっともない真似しないでよ。オヤジじゃあるまいし。」

 美幸は呆れかえった。時々、かなりデリカシーに欠けた振る舞いを夏実は平気でする。例えばドアを開けたまま風呂に入るとか。

 「早くシャワー浴びたいなあ・・・」

 「おかしいわねえ。エアコン壊れてるのかしら?」

 美幸がそう呟いた時、一台のワゴン車がミニパトの傍を猛スピードで通り過ぎていった。一瞬見えたその後部ドアの窓に、美幸の目が何かを捉えた。

 「夏実、今の車。」

 たしかに女らしき髪の長い姿と、その髪をつかんで引き倒す男らしき姿が見えたのだ。

 「わかってるって。」

 夏実は真剣な表情で頷いた。どうやら彼女も同じものを見たらしい。

 Todayは急発進すると、ワゴンを追い始めた。スピードが変わらないところを見ると、ワゴンのドライバーは全くミニパトに気付いていない様子である。別のことに余程気を取られているのだろうか・・・?

 住宅街を抜けると、建設中のビルが立ち並ぶ再開発地区に出た。ワゴンはジグザグに走りぬける。

 「こちら美幸。不審車を発見、現在追跡中。場所は墨東駅前ルミネ建設予定地。」

 美幸はマイクに向かって早口で言った。

 「了解。気をつけてね。」

 頼子の声が返ってきた。美幸は気付かれないよう、距離を置いてワゴンを追い続けた。そのままビルの骨組みの間を抜けると、線路沿いの広大な空き地に出た。小さな看板がぽつんと立てかけており、『社有地・無断立ち入りを禁ズ』とある。付近に人通りは無く、見渡す限りぺんぺん草でおおわれた空き地の中央に、赤錆だらけのレールに囲まれるように2階建てのプレハブ住宅が見える。その前にワゴンは停まっていた。

 「美幸、行くわよ。」

 看板の前に停まったTodayから夏実は降りた。懐中電灯とメガホンを手にした美幸がその後を追う。

 

  ワゴン車から3つの人影が降りた。男の姿が2つ、そして引きずられて車からこぼれ落ちたのは、髪の長い女の姿だ。背の高い方の男が馬乗りになって女の両手を掴んで、地面に押し付けた。もう一人の男は女のスカートを剥ぎ取る。そのビリッという音は10m程離れて草むらに身を潜めている夏実と美幸にも聞こえた。

 「これでもうハッキリしたわね。署に連絡を・・・」

 「何言ってんのよ美幸!現行犯なんだからあんなヤツらそっこうでツブせるわよ。」

 夏実は目を剥いて、押し殺した声で美幸につめよった。始めて目にするレイプの現場に、パトロールの前に署で受けた指示の内容もすっかり忘れ、ただ女性の敵を叩きのめすことしか頭に無いのだ。

 「で、でも・・・」

 動揺する美幸の手からメガホンをひったくると、夏実は駆け出した。美幸もその後を追った。

 「そこの二人!警察よ!!」

 夏実の叫びに男二人が動きを止めた。女に馬乗りになっていた大男がのろのろと立ちあがる。スカートを引き裂いた男はズボンを脱ぎ、ブリーフ一枚の姿でしゃがんだままだ。両手の自由が戻った女は乱れた着衣もそのままに走り去った。

 夏実は威厳をこめて大股で近づいた。大男は身長は190cmはありそうが、顔は妙に童顔で、口元に薄ら笑いを浮かべている。2番目の男は髪を短く刈り上げ、鼻の下に薄くヒゲを生やしているがどうみても10代半ば、16,7というところだ。こちらは挑むような目つきで夏実をにらみつけている。

 「アンタ達、未成年でしょ?」

 美幸がそう言った瞬間、ヒゲの男は夏実に飛び掛った。夏実は軽く身をかわすと、廻し蹴りを食らわせる。そのつま先が正確に男の右手首にヒットした。ギャッと叫んで男は手を抑えた。ぽとり、と何かが地面に落ちた。ゴツい、刃渡り20cmはある両刃のサバイバルナイフだった。

 「何ィ?お前等、アタシとやろうってのか?上等じゃん、かかって来な。」

 物凄い形相で仁王立ちになった夏実が言う。

 「な、夏実、まずいわよ・・・」

 夏実は無言だ。その殺気に美幸は思わずあとずさった。なんとも形容しがたい雄叫びを上げて、大男が夏実に飛びかかる。夏実はその顎を蹴り上げた。脚をふり上げた勢いで、膝まである制服のタイトスカートがビリっと破れた。ゴギっという音がして、大男は下顎を砕かれた。口の端から血と歯の欠片の混じった泡を垂れ流しながら、なおも大男は掴みかかろうとする。夏実はその右手とTシャツのすそを掴むと、見事な背負い投げを決めた。背中から地面に落ちた大男は、ろくに息もつけずにもがいている。夏実は道路に散らばった生ゴミを見るような目付きで彼らを見下ろした。

 「さぁ、じゃちょっとコワイとこ行こうか、あん?なーんか、スゴいことやってたみたいだしねえ。」

 夏実が言い放った時、

 「きゃっ。」

 「動くな!」

 2つの声が背後で同時にした。夏実が降り返ると、そこには羽交い締めにされ、首筋に果物ナイフを当てられた美幸がいた。羽交い締めにしているのはどこかに隠れていたらしい中学生くらいの少年だ。美幸や夏実よりも背は低い。

 「おい、そこのチュウボウ、バカな真似はやめてそのおねーさんから離れな。」

 夏実が歩み寄ろうとした時、手を抑えていたヒゲの男が素早い動きで何かを夏実の背中に押し当てた。ボスっという音がして、うっすら煙が上がる。夏実は目を大きく見開いたまま前のめりに倒れた。スタンガンだった。

 「夏実ッ!」

 美幸が悲痛な声で叫んだ。ヒゲの男はスタンガンを左手に持ち、羽交い締めにされたままの美幸の目の前に立った。いきなり平手で美幸の頬を打つ。痛みよりも驚きの表情を浮かべる美幸を見ると、男はにやりと嗤った。そしてスタンガンを美幸の腹に当てると引き金を絞った。

 「良くやった、洋介。ココで見張りさせといて正解だったな。にしても畜生・・・人のセックスの邪魔しやがって。」

 崩れ落ちた美幸を見たひげの男は初めて口を開いた。手首は赤黒く腫上がっている。気絶した二人の婦警をいまいましげに睨みながら手首をさすってると、急に何かを思いついたように笑みを浮かべた。つま先で夏実の体をごろりと転がしてあお向けにすると、その顔を、そして破れたスカートをまじまじと眺めた。

 「おい洋介、デク、こいつら縛って中入れろ。」

 「えっ、でも、け、警察だよ、竜司さん。」

 洋介と呼ばれた少年は甲高い声でリーダー格のひげ男に問い返した。

 「だから?」

 凄みをこめて竜司さんと呼ばれたひげ男は答える。躊躇しながらも大男と少年はワゴンの後部ドアを開けると、荷造り用のロープとガムテープを取り出した。竜司も加わって、3人は慣れた様子で二人の婦警の手足を縛り、口をガムテープで塞ぐ。作業が終わると竜司と大男はそれぞれ縛った足と手を持ち、プレハブ作りの建物まで運んだ。ドアを空けると、「そうれっ」と掛け声を上げて二人の婦警を部屋に投げ込んだ。ドスン、と音がするが気絶した婦警は身じろぎ一つしない。

 「これで良い。しばらく遊べそうだぜ、こりゃあ。」

 満足げなひげ男を、不安そうな面持ちで少年は見上げた。

 

 

  「お、オレ、早く犯りたい。」

 大男は股間を手で押さえながら、床に転がっている気絶した二人の婦警をギラついた目つきで眺めている。

 「まあ待てって、デク。いつもマグロ相手じゃ面白くネェだろ。洋介、水持って来い。」

 少年は奥の部屋に引っ込むと、水を満たした薄汚れた洗面器を持って来た。竜司は洗面器をひったくると、乱暴に中身を美幸と夏実の体にぶっかける。靴の先で頭を小突くと、ようやく二人の婦警に意識が戻った。

 「う、ふむう・・・?」

 美幸は首を廻して辺りを見、ついで自分が手足を縛られ、ガムテープで口を塞がれていることに気付いた。3人の男に視線が合うと、「ひっ」と小さく叫んで目を見開く。

 「おい、オレ達スゲぇ困ってるンだよねえ。生理的欲求を途中でじゃまされてよォ。しかも、オレの手こんなされちまったし。」

 竜司は赤紫色に腫れた手首を指した。

 「だからさ、てめぇら婦警なんだろ? ちょっとオレ達の更正の手伝いしてくれよ、なぁ?」

 竜司は美幸の三つ編みをつかんで顔を持ち上げると、その頬にサバイバルナイフを押し当てた。

 「夏実ってのかお前?服脱げや。」

 竜司が合図をすると、少年が手足のロープを果物ナイフで切った。夏実はゆっくりと立ちあがる。ガムテープを自分で剥がそうとすると、竜司は慌ててナイフを振り回した。

 「動くな!オレが言うとおりにしろ、変な真似すると、コイツはこうだぞ。」

 ナイフで美幸の首を切る真似をする。美幸は必死に夏実に目で訴えている。

 「さっさと制服を脱げ。全部だぞ。」

 夏実の手がライトブルーの制服のシャツの裾にかかる。が、なおも躊躇っている。

 「どおした!ただの脅しだと思うなよ、オレたちゃまだ未成年だからな、人殺しをしたってたかが知れてるんだ。」

 覚悟を決めたように、夏実はシャツを脱ぎ捨てた。そのままベルトを外すと、破れたタイトスカートがすとん、と床に落ちた。その様子を美幸は呆然として声もなく見つめている。

 夏実は上は薄いコットンのタンクトップ、下はハイレグパンティという姿になった。ガムテープで口を封じられたままだったが、夏実は警察官としてのプライドを見せつけるかのように恥らうことなく堂々と下着姿で立っていた。

 「すげえ・・・」

 洋介と呼ばれた少年が、思わず感嘆の呟きを漏らした。デクは股間を握り締めたまま涎を垂らして、焦点の定まらない眼差しを夏実の体に注いでいる。竜司はサバイバルナイフを美幸の喉につきつけて隙を見せないようにしていたが、いやがおうでも勃起しているのを意識していた。

 プレハブ住宅の中は蒸し暑く、汗でタンクトップとハイレグパンティは夏実の肌に貼り付き、うっすらピンクの乳首と陰毛の翳りが透けていた。鍛えぬいた夏実の体は筋肉質で、肩幅は広い。その肩幅に見合った大きさのバストは優に90はありそうだが、垂れるどころかタンクトップを持ち上げている。ウェストは見事にくびれているが、腰は豊かに広がり、見事なカーブを描いていた。尻はかっちりと中性的に引き締まり、肌は小麦色にうっすら輝いている。

 「オレは全部脱げって言ったよな?その下着も早く脱げ。」

 夏実はごくり、と唾を飲みこんだ。竜司は美幸の頬を掴み、ナイフを喉に押し当てた。夏実は殺意を込めた目で竜司を睨み付けたが、竜司の目は夏実から離れない。夏実はついに観念した。

 あっさりとタンクトップを脱ぐと、夏実のバストがブルンと震えながら飛び出してきた。まるで一回り大きくなったように見える。さすがにそのバストをなんとか片手で隠しながら、夏実はパンティに手をかけた。正面から少年達に見えないように、身体を横に向け、前かがみにならないように腰を落としていくのが滑稽であった。パンティを足首まで落とすと、バストと股間を手で覆って竜司達に向き直った。とうとう、全裸を犯罪者達に曝したのだ。身体を覆うものといえば、口を塞ぐガムテープだけ。

 竜司達3人は、美幸が人質にさえとられていなければ、夏実の敵ではない相手だ。3人が同時にかかって来たとしても、夏実には抜群の運動神経と並外れた筋力がある。しかし、それを封じられてしまえば、残されたものは女の肉体だけなのだ。

 今、夏実は最悪の形で自分が女であることを実感していた。白バイ隊の男達に混じって、体育会のノリで飲み交わしてたことなど、前世の記憶のごとく実感が無い。

 「ふざけんな婦警さんよ。オッパイと股隠してる手をどけろよ。」

 催促する竜司の声も心なしかうわずっている。

 「クッ・・・」

 屈辱で夏実はうめき声を上げたが、ついに身を硬くしたままバストと股間を覆ってた手を除いて、その見事な身体を曝した。

 美幸の目には涙が浮かんでいる。この先、何が起こるか凡その見当はついていた。講習で幾度か見聞きした、女性の『性』を完全に破壊する犯罪・・・強姦だ。その犠牲者になるのは、どんな恋人よりもこれまで苦楽を共にし、表も裏もお互い知り尽くした親友の夏実なのだ。その原因を作ったのは自分の不注意であることを思うと、舌を噛み切って自殺したかった。

 

 

 


解説

 今回はこんな感じで「逮捕しちゃうぞ」を元ネタに書いてみました。やっぱりこの手のHパロは、シチュエーションに凝ってナンボのものと思ったのですが、あんまし意味なかったみたいですね。

 メインのシーン(苦笑)はまだですが、近いうちにお送りしますので、よろしければ合わせて読んでやってください。当然、この後夏実はヤラれまくるという展開になりますが、オチはまだ決めていないので、「こんな落とし方ではどうですか?」というような御意見お持ちの方いらっしゃいましたら、感想をお寄せください。

 


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