私は21歳以上です。



      ミクロとマクロ 

                        作:テンちゃん  
     (1)

        『裕二の夏休み』

 普通『ノミ』などの寄生虫を人間は嫌う。

 しかし、我々人類はどうなのだろう。地球という一つの
惑星に寄生した『虫』そのものではないだろうか。
 寄生し、ありとあらゆる資源を枯褐させ滅亡へと邁進す
る。戦争、植民地支配、核実験、人間同士の骨肉の争いは
ウイルス同様、今日も続いている。

 近年、温暖化やエコロジー、緑を守ろうなど叫ばれては
いるが、ソレらは全て<人類の存続>のためである。
 本当に<地球>のことを思うなら我々、人類がまず姿を消
すべきだろう。 
 そんな人類にかまうことなく、噴火、地震を繰り返し活
発に活動する地球。
 当然、地球そのものの寿命は決まっており<形>あるもの
は必ず消滅する。
 この地球でさえ誕生から消滅するまでは、宇宙の長い時
の流れにしてみれば、ほんの<まばたき>に過ぎない。

 全周約40800Km。青い水を深々と抱えた太陽系第
三惑星地球。普段、気にとめることもなく生活しているこ
の地球が『奇跡の星』と呼ばれているのを今さら講釈する
必要もない。
 だが果たして本当に『奇跡の星』なのだろうか。現段階
ではご存じのとおり太陽系(最近の研究では冥王星の外に
もう一つ惑星があるとされている)に生物は確認されてい
ない。以前は生息していただろうとする痕跡、または微生
物の化石がわずかに発見されているだけで、形ある『知能
生命体』はいないとされている。

 だが、ここで述べたのはあくまでも『太陽系』の話であ
る。現在確認されているだけでも<太陽クラス>の恒星は8
00以上あり、それら全てが銀河系を形成しているとも言
われている。当然、これらは現段階の『人間』が発見した
ものであり、宇宙は無限に広大なのはご承知のとおりだ。
 こうしている今でさえ大小さまざまなブラックホールが
空間を広げ、伸縮を繰り返し、老いた星は消滅し、新たな
星が息吹をあげている。

 我々の住む地球がある『太陽系』から一番近いとされて
いる隣の『銀河系』までは<光>の速さでも6500万年ほ
どかかるとされ<隙間だらけの宇宙空間>を改めて思いださ
せる。
 さらにこれら、太陽系を含む銀河系が集団となり一つの
コロニーを形成し『天の川』のような星団となる。
 この星団がさらに集まりコロニーを作る。そのコロニー
がさらに集まり、、、、、まったくキリがない。

 これだけの数だ。望みはなくもない。いや、必ずと言っ
ていいほど今、この時点で生物がいる星はあるだろう。
 仮に生物が最低限、誕生、生息するのに酸素、水素など
の大気が必要とされるならば、そのような惑星は掃いて捨
てるほどあるはずだ。
 
 ただし星の大きさ、気圧や重力、自転、地軸の動き、太
陽から一億五千万キロという絶妙な距離、そしてなにより
も太陽をまわる<軌道>が素晴らしい。これが木星や土星の
ように少しでも『だ円』を描いていると千度以上の温度差
が周期的に訪れることなる。
 以上のことを考慮して、<人間と同等の姿>をした知能生
命体を有する惑星を発見するのは、現段階では、まず無理
に等しい。
 
 万に一つあったとしても、考えてみてほしい。
『時』は常に流れている。『人類』が誕生してたかだか2
万数千年。猿人から進化し、様々な文化や科学を構築させ
まだまだ発展段階といえよう。
 その我々人類の<いま>と同等の『時の符号』のイタズラ
などありえるだろうか。
 すでに進化を謳歌し滅んだ星もあろう。人類と同じ進化
を辿るとすれば、生命の<誕生の要>でもあるプランクトン
かもしれない。
 映画『スターウォーズ』のように同時多発的に星々に生
物が誕生し、姿は違えど同等の価値観、思考感を持つこと
など必然的に考えにくい。
 
 地球人のような宇宙人。自分と瓜ふたつの容姿。会いた
い気もするが、ソレには<地球誕生>と同時期に地球と同じ
大きさ、質量を持った星が太陽系と同等の距離で誕生し、
先も述べた気圧、地軸、重力、軌道、大気の状態など全く
同じでなければならない。

 その第二の地球以外の恒星(水、金、木星などにあたる)
も太陽<ここでいう中心にあたる星で当然同サイズ>を中心
に同じ軌道をとらないと引力バランスがずれ、まったく別
の生き物になる。
 さらに我々『ほ乳類』と同じ進化の過程を同スピードで
歩みつつ、文化や文明も似たようなものでなければならな
い。氷河期、ジュラ期さえ同じ行程でくぐり抜け、恐竜で
さえ、全く同時期に滅びなければならないのだ。
 大陸移動も似たものでなければならず、絶滅するものは
絶滅し、同じ食物を食べ、同じ消化器官を持ち、同じ肺呼
吸をする。言葉は違ってもいいが、何か、1ミリでも違え
ば人類でいう『バケモノ』のような容姿になりえる。
 チンパンヂーと人間、DNAの塩基配列は99%以上は
同じだという。
 早い話、<瓜ふたつの太陽系>でないとダメなのだ。

 もう一つ、これがやっかいだ。同じ進化をしてきたのに
もかかわらず、人類よりも『宇宙工学だけ』極端に突出し
ていなければ、さらに言えば、数ある星のなかで運よく地
球を発見してもらはなくては<いま>我々が『もう一つの人
類』と『出会える』可能性はない、、、、、
 
 そんなことを思って、浜辺に座り天体観測をしている一
人の少年がいた。
 ここは日本でも有名な観測スポットの無人島。裕二は望
遠鏡から目を離すと大きく伸びをする。
 降るような星の輝きが夜の海に反射し、なんとも美しい
波形をみせる。
 ん??、、裕二は始め流れ星だと思った。しかし、、、

 キラリと光る物体が空からグングン近づき、速度が緩ま
ったかと思うとドスンッ!と砂浜に突き刺さった、、、、


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